Dec 23, 2010

最後の切り札、個人破産

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 教科書採択をめぐり、石川県加賀市の審議で「圧力」があった疑いが浮上した。採択の現場ではこれまでも、委員の自宅に電話や文書で心理的圧力をかけるケースも報告されており、識者は「採択制度を脅かしかねない行為」と指摘している。沖縄県教委では圧力を通り越し、政府見解をねじ曲げて指導する異常事態が続く。採択制度の根幹が揺らいでいる。

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 ◆不自然な経緯

 「特定の教科書を採択させないために言ったのではない」。石川県加賀市教育委員会の中学歴史と公民の採択審議で、教育委員に圧力とも受け取れる発言をした同市教委の幹部職員はこう釈明する。だが、採択の審議はこの発言を境に不自然な経緯をたどった。

 議事録によると、7月22日に行われた採択審議は、教育委員長が冒頭、採択委員会が推薦した第1候補について意見交換し、問題がなければ承認するという方法を提案。「場合によっては投票もある」とした。歴史と公民以外はほとんど議論はなかった。

 問題の歴史の審議で、女性委員の1人が第1候補の教育出版について「日本の国自体を必要以上に卑屈に感じさせてはいないか」と質問した。

 教育長は「そういうふうに読み取れるかもしれない」と述べた。さらに女性委員が「日本を背負っていける意識付けができる教科書が選べたらいい」と発言すると、教育長は「そういう宣伝を一番やってきたのは育鵬社と自由社だ」と指摘し、「理念は誰しも賛成だが、学校現場に教育委員会として説明できる教科書にしないといけない」と述べた。

 その後も「女性委員3人」対「教育長と委員長」という構図で議論が続き、市教委幹部職員が休憩を提案。教育長が「それぞれの考えがあり無記名投票にせざるを得ないかもしれない」と発言すると、教育委員長も「無記名投票がふさわしいとも考えられる」と応じた。

 ◆休憩中“圧力”

 議事録の流れからは、休憩後に投票が行われてもおかしくないが、実際は投票がなかったばかりか、追加議論もないまま第1候補の教育出版が承認された。

 休憩中に幹部職員が女性委員らにした「責任を取れるのか」という趣旨の発言がきっかけで、流れが変わった様子がうかがえる。

 幹部職員は「休憩中、女性委員3人が話をしていたので、そこで何かがあったのかという気がするが、私の発言でそうなったのか、議論の末そうなったのかは分からない。私の言葉で意見を曲げたとなると、逆に信念はなかったのかとも思う」と語った。

 教育問題に詳しい秋山昭八弁護士は「審議中に圧力とも受け取られかねない発言をするのは問題だ。教職員組合などの意向を受けた事務方主導で進められるケースも少なくなく、教育委員は周囲の言動に左右されることなく、判断することが重要だ」と指摘する。(河合龍一)

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 ■自宅宛て大量書面

 石川県加賀市教委や沖縄県教委だけに限らず、教科書採択の現場ではさまざまな「圧力」がかけられている。

 東京都武蔵村山市は来春から使用する中学校の教科書に育鵬社を採択。採択に当たった5人の教育委員の自宅には、不採択を呼びかける要望書が数十通送りつけられたという。

 全国最大の採択区の横浜市では、在日韓国人らが不採択運動を繰り広げ、在日本大韓民国民団が県内全市町村議会に要望書を提出した。

 こうした「圧力」がエスカレートも。平成14年には愛媛県立中高一貫校には過激派などによる組織的圧力が加えられ、県警が教育長と教育委員らを24時間態勢で警備する事態に発展。13年には栃木・下都賀(しもつが)地区で、一度は採択を決めた扶桑社の教科書を抗議・妨害活動によって東京書籍に変更させられるといったことも起きている。

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 ■八重山、越年の可能性

 沖縄県八重山地区(石垣市、与那国町、竹富町)の中学公民教科書が一本化されない問題は、採択期限から3カ月が経過してもなお決着がつかない状態が続いている。省令に基づく期限を優に過ぎているにもかかわらず、文部科学省が新たに設定した期限を「法的根拠がない」として守らず、閣議決定した政府見解に反する指導を行う県教委。文科省は新たに年内という期限を設定したが、“無法状態”と化しているだけに、越年の可能性も出てきた。

 「法的根拠(の採択期限)は3カ月前に切れていますから」

 中川正春文科相は2日の会見で、文科省が11月末とした教科書一本化の報告期限を、沖縄県教委が「法的根拠がない」との見解を示して守らなかったことについて不快感をにじませた。

 県教委は今回に限らず、これまでも文科省の指導や期限を無視し続けてきた。

 文科省は8月23日に採択地区協議会が答申した育鵬社を逆転「不採択」とし、東京書籍を選定した9月8日の協議について、石垣、与那国両市町側の合意が得られていないため無効と判断。県教委に対し、省令に基づく教科書需要数の報告期限である9月16日までに、竹富町に育鵬社を採択させるよう指導したが、県教委は「再協議を促したい」として従わなかった。

 文科省幹部らはこれまで「一本化へ向けた努力をされている」と県教委をたててきたが、実際に県教委が一本化へ向けて動いたのは11月28日に3市町教育長会談を開いたことと、3市町に2回文書で通知したことだけ。11月28日の通知では、9月8日の協議を有効とする「県教委の見解」と題する文書を添付。事実上、東京書籍での一本化を求めており、同協議を無効とし、採択地区協議会の答申に従って育鵬社で一本化すべきだと閣議決定した政府見解に反する指導を行った。

 文科省は教科書無償措置法に基づく協議会の答申に従った石垣、与那国両市町は無償供与の対象とし、竹富町が従わなかった場合、対象外とする方針で、2日、竹富町に年内までに対応を決めるよう求めた。

 しかし大城浩沖縄県教育長は1日の県議会で「教科書を地方自治体が購入できる法的根拠について承知していない。国の責任で無償供与してもらいたい」と答弁。竹富町の慶田盛(けだもり)安三教育長も「東京書籍を採択したことに法的瑕疵(かし)はなく、簡単に変えられない。法の不備なので、今回は特例で無償供与を認めてもらいたい」としており、年内に決着するかは不透明だ。

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【用語解説】教科書採択の政府見解

 教科書無償措置法は採択地区内の各市町村教委に同一の教科書採択を求める一方、地方教育行政法(地教行法)は各教委に採択権を付与。政府見解は採択権は無償措置法に従って行使されるものとしているが、沖縄県教委はどちらが優先されるものではないと解釈。地教行法を盾に、採択地区協議会の答申に反して独自採択した竹富町教委への指導を拒んでいる。

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Posted at 03:21 in Community | WriteBacks (0) | Edit
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